唯作玲太のどっぴゅん☆ダイアリー

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【感想】おかしの家#05「愛」

www.tbs.co.jp

水曜日のダウンタウン」が好きなので、見終わった後もTBSにチャンネルを合わせっぱなしにしていた。
そのまま始まった、見るともなしに見たドラマ「おかしの家」は3話だった。

主人公がいじめていた同級生(木工用ボンドを食べるような変なやつ)が病気で死んだ。いじめていたつもりはなかった。お葬式に行くか迷っている。その同級生は結婚していた。

というような、現実に起きたらすぐに心の整理ができないような物事が描かれていた。
迷いもそのまま、解決することなく持ち越して、ドラマは終わる。
テレビドラマにはこういう文学的というか、静かなトーンの類のものが存在している印象がなかったので、面白いし、ビックリした。新しいなと思った。
それ以降、「水曜日のダウンタウン」を経て、「おかしの家」を見るのが楽しみになっていた。
オダギリジョー時効警察が最高に良かった。それ以来好きです。勝地涼は声がいい。そういえばガンダム00で声優もやってたっけ。健気な尾野真千子がかわいい。桐島の「おーまたー」の奴こと前野朋哉嶋田久作をぶっ込んできているあたり、完全に映画を作りにきてる感じ。そりゃ面白いわ。

モラトリアムに生きる男4人、バツイチシングルマザーの同級生、儲からない駄菓子屋、やさしいおばあちゃん…
情報量としては、このくらい。設定が語られるわけでもないのに、次々と理解できる人物の機微と状況。
穏やかに流れる時間と、居心地の良い場所。それと同時に存在する、厳しさと残酷さ。透けて見える、登場人物たちの持つ傷。
それらを、テレビドラマという形式できっちり描いている。
そんな5話。これがまたすごかった。
ネタバレしようと思うので続きを読むにする。

「おかしの家」第5話要約

付き合っているのかいないのかわからない太郎(オダギリジョー)と礼子(尾野真千子)。
礼子の仕事の昼休みに、太郎のために作ったお弁当を渡し一緒に食べる日々。
その礼子の職場に太郎が見知った女性・麻理恵(成海璃子)がいた。
太郎は麻理恵のことを、昔通っていた風俗にいた女性・マロンだと気づく。
礼子への体裁か、麻理恵との関係を隠す太郎。それを訝しむ礼子。
太郎の実家の駄菓子屋「さくらや」にやってくる麻理恵。
「もしかして、麻理恵ちゃん?」と気づく太郎のおばあちゃん、明子(八千草薫)。
「全然変わってない」、という明子に対し、「変わっちゃいましたよ、私」と言う麻理恵。
その後、川辺で偶然(?)出会う太郎と麻理恵。麻理恵は海外に行くという。
子供の頃、太郎に憧れていたと話す麻理恵。
腹黒いと自称し、礼子には勝てると思っていたと言う麻理恵。
麻理恵に対し、「ちょっと待ってマロンちゃん」と、風俗嬢だと決めつけて話す太郎。
「それなんですか?」と、キョトンと返答する麻理恵。
凛とした表情で「麻理恵です」と続ける麻理恵。
一瞬悲しそうな顔をした後、笑いながら「やっぱり私の事忘れてたんだ」と麻理恵。
「ホントにマロンちゃんじゃない!?」と焦る太郎。
その後する麻理恵がする、この顔。
f:id:ejaculation:20151125224001j:plain その後、この顔。 f:id:ejaculation:20151125224111j:plain 結局、麻理恵はマロンだったのか、わからない。
「女の秘密に触れてはいけないんだ」とつぶやく島崎(嶋田久作)。

おれなんぞのテキストでは数%も描写できていないが、すごいのだ。 結局は

結局、麻理恵はマロンだったのか、わからない。

ここに終始するのだが、いくつものパターンと関係性が、上記の数十分の、多くないセリフのやりとりと演技から見て取れるのだ。 そして、見る人によって、こうであろうと想像するパターンは違う。

おれは、麻理恵はマロンであったと思う。以下が主張です。

マロンとして風俗で働いていた頃から麻理恵は太郎のことに気付いていたが、その空間の気まずさからあえて旧知の仲であることを話しはしなかった。
太郎は旧知の仲である麻理恵のことが好きだから店に通っている、と麻理恵は感じていた。
太郎はこの時点でも、マロンが麻理恵であることには気付いていない。
何がしかの理由で麻理恵は店をやめ、普通の仕事につき、数年たつ。そして礼子の店に流れ着く。
久しぶりに再会し、やや気まずいながらも嬉しく思う麻理恵。
最後に話をして、太郎はマロンとして指名していた時から麻理恵と気づいていなかったことに気づき、かつ話をしている今もなお、太郎は麻理恵という人間の存在などはじめから頭にない、ということに気付いた。
そこであの表情をした。

…ように感じた。
おばあちゃんと一緒にお昼を食べるも、その直後に礼子のお弁当を食べに出る、どちらにも事情を明かさない太郎のどうしようもない気質も、さりげなく描写されていたりして、デリカシーもやっぱりなさそうなのだ。
主題歌の「大人だろう、勇気を出せよ」という、ポップな曲調だけど悲しい歌詞も、そう思わせる何かがあった。

一緒に見ていた嫁は、マロンと麻理恵は別人だと主張していた。
当然、そうだったとしても成立する構成になっている。だが、おれには「変わっちゃいましたよ、私」というセリフと、太郎に見せた麻理恵の表情が、やけに意味深に感じられたのだった。

結論として、成海璃子の体つきが最高ってことです。

放送後にネットでTV見られるやつ

http://tver.jp/tver.jp これもすごい。いつの間にこんなものが。画質もいい。 「おかしの家」も放送翌日から一週間見られる。 5話をここで何回も見ました。

tver.jp

あと数時間で6話の放送がはじまる。楽しみです。